9周年記念の講師には、佐野潤一郎さんをお招きしました。
佐野さんは、卵巣がんの奥様を看取られ、ご自身も膀胱がんのサバイバーとして歩んでこられた方です。今回の講演テーマは「伴走型支援 ー 家族のように緩やかに繋がる」。
講演では、奥様に寄り添い続けた日々を、とても丁寧に語ってくださいました。
佐野さんが語る「伴走」とは、相手のそばに立ち、一緒に頑張り、一緒に歩みを進めていくこと。
奥様への伴走とは、奥様がやりたいことを応援することであり、学びを手伝うことであり、そして治療による脱毛があった際には、自ら髪を剃って寄り添うことでもあったそうです。
講演では語られなかった日常にも、きっと数えきれないほどの「伴走」があったことでしょう。
奥様を見送って1年後、ご自身の膀胱がん再発を知らされた際には、「治療はしない」と医師に伝えたといいます。
「妻がいない世界で生きていくのが辛かった」と静かにお話しされていた姿が印象的でした。
現在の佐野さんは、ピアサポーターとして多くの人の伴走を続けておられます。
奥様を見送った後、さまざまな出会いや学びを通して得たものが、今の活動の原動力になっているのかなと感じました。

今回元ちゃんハウスの9周年に寄せて、本当にたくさんの方々がお越しくださいました。
みなさまとの出会いを大切にしながら、自分ができる伴走を行えたらなと思います。

