元ちゃんハウススタッフの日記

元ちゃんハウス日記

珠洲に行ってきました

10月の5週目木曜日、一雨ごとに秋の深まりを感じています。

26日(日)雨が降り続く中、金沢マラソンが開催されました。元ちゃんハウスの仲間たちが雨にも負けず完走され、スタッフもお揃いのTシャツとお手製の団扇を持って応援しました。選手の皆さんが一生懸命に走る姿を見て、沿道からの応援にも力が入りました。マラソンの様子は選手の皆さんの話も交えながらブログなどで報告できたら良いなと思っています。


 
さて、10月上旬珠洲市に行く機会がありました。

そこで地域活動されている方が言われた言葉

『珠洲は未だ、復興ではなく復旧の状態です』

まさにその通りの現状と、復興を願いながら活動されている方々の心の強さ、想いの深さを感じました。

また被災者の揺れ動く気持ち・迷い、見通しが立たない将来への不安など、震災後1年10ヶ月経つけれども何度も何度も覚悟をしなければいけない状況をさまざまな面から見て感じることができた1日になりました。

国道249はいまだ一般車両は通行止めです。

 当日は秋晴れの爽やかな1日でした。大谷地区の潮騒レストランは開放的で空と海の青さのコントラストが映え、テラスからは七ツ島の3島が見え、素晴らしい絶景でした。

水平線の向こうに七つ島の3島がみえた

坂茂さんの設計

能登の里山里海の幸がふんだんに入ったランチ

 潮騒レストランは2023年奥能登国際芸術祭にあわせて開業、能登半島の外浦の絶景をどの席から座っても一望できるように設計されています。また珠洲の里山里海で採れた食材をふんだんに使った料理も提供しています。

 震災(2024年元日)後、8月に営業を再開したものの、9月の豪雨災害により再び休業、そして2025年5月から再開しています。

シェフの加藤さんは

「移住者であったが、震災後は避難所での食事の提供などに関わり、地域の皆さんと深く繋がることができた。地元の皆さんや工事関係者、ボランティアの皆さん、そして珠洲にきてくださる皆さんが珠洲の良さを体感できる場所として集えるように、地域の一役を担えるように、これからも頑張っていきます」

とお話くださいました。

シェフの加藤さん

 大谷地区では、500年以上前から続く伝統の『揚げ浜式製塩』の塩田があります。
外浦は地震による隆起で海岸線が40メートルほど遠くなり海水を汲み上げるための設備や道路の復旧を整えていた先の豪雨災害です。未だにところどころに土砂崩れによる山肌がみえ、集団避難地域に指定されている集落もあります。塩田にも大量の土砂が流れ込み絶望的な状況だったとのこと。ボランティアの協力もあり、今夏は営業を再開することができ伝統をつなぐことができたと。不屈な精神にただただ頭が下がる想いです。

塩田

震災後隆起によって海面から上がった部分をを埋め立てて応急的な道路になった

 海岸線の岩の白い部分は震災で隆起し海面から上がった部分になります。(石川県の面積が増え、福井県を超えた部分ですね、複雑な思いになります)

そして震災から11か月後にようやく建てられた大谷の仮設住宅と高屋町の漁港前に建つ仮設住宅、こんなに海に近いところだとは、、現地に行ってみないとわからなかった距離感です。

大谷の仮設住宅
高屋漁港の横にある仮設住宅

 珠洲市の内浦側は市内でも住宅地の多い地域です。正院町や宝立町では津波の被害もありました。現在珠洲市では、申請のあった住宅の解体は90%ほど完了しており、街中では全壊している家屋などを目にすることはありませんでした。点在している住宅、その周りの更地には雑草と住宅用引込柱だけが残っている状態、何とも虚しい空間です。それでも住宅再建も少しづつ進んでいます。

珠洲市の人口は約1万人。(震災前と比べて15%減)そして人口の32%は仮設住宅住まいです。高齢化率も高く高齢者のみの世帯も多いです。(珠洲市HPより)まずは数年先を見通せる支援、公営復興住宅の早期建設や医療や福祉事業の充実を強く願ってやみません。

住宅
道の駅

 被災者の皆様、珠洲の復旧に関わっておられる皆様、全国から応援してくださるすべての皆様に、珠洲市の素晴らしい幸がたくさん届きますように。

(2025年10月30日)

元ちゃんハウス 看護師
角口 園美