管理栄養士の〝食べまっし〟 日記  〜その19〜

元ちゃんハウス管理栄養士櫻井千佳 任田和子 元ちゃんハウス日記

久しぶりの京都

先日、母校である管理栄養士養成施設の55周年記念講演のシンポジウムに登壇する機会をいただきました。この特別な場で、かつての学び舎に戻り、自分が経験してきたことや管理栄養士としての思いを学生たちに伝えることができたのは、本当に感慨深い経験でした。講演の日は、晴れ渡る空の下で校舎を見上げると、懐かしさとともに様々な思い出が蘇ってきました。

その中でも特に心に浮かんだのは、中学時代から付き合いがあった同郷の大学時代の友人のことです。彼女は英語英文学科に進み、その語学力を活かしてニューヨークで働いていました。彼女は、夢を追いかけながら海外でのキャリアを築く姿に、私も大きな刺激を受けていました。しかし、彼女は病に倒れ、闘病生活のために日本へ帰ってくることになりました。闘病中の彼女に私ができることは限られていましたが、彼女と過ごした日々は今でも鮮明に覚えています。

今回の講演では、彼女について直接語ることはありませんでしたが、あの校舎を目にした時、彼女と共に過ごした学生時代の記憶が蘇りました。キャンパス内を一緒に歩いたことや、未来について語り合った時間が、まるで昨日のことのように感じられました。彼女が歩んだ道と私が選んだ道は異なるけれど、共に成長し、夢に向かって進んでいたあの頃の自分たちが、今の私を支えてくれているように思います。

そして、思いがけず恩師も講演を聴きに来てくださり、久しぶりに再会することができました。恩師は、学生時代に私たちに厳しくも温かい指導をしてくださり、栄養の奥深さを教えてくれた方です。お声をかけていただき、「成長した姿を見られて嬉しい」と言っていただいた時、当時の教えが今も私の支えになっていることを改めて実感しました。その言葉は、私にとって大きな励みとなり、今後の活動への意欲を新たにするものでした。講演には、大学時代の友人たちもたくさん駆けつけてくれました。久しぶりに再会した彼女達と、昔話に花を咲かせるとともに、今のそれぞれの人生についても語り合うことができ、私にとって心の充電となりました。友人たちの温かい励ましや、懐かしい笑顔に触れることができ、心が温かくなりました。こうした支え合える仲間がいることの大切さを、改めて実感しました。

彼女が闘病を経て日本に戻り、私ができる限りのサポートを試みたあの時間は、私の管理栄養士としての活動にも深く影響を与えています。今、がん患者の支援に取り組んでいるのは、彼女との日々があったからこそ。食を通じて何かできるのではないかという気持ちは、彼女の存在があってのことです。 母校での講演を通じて、初心を思い出し、また仲間たちとの再会で新たな力を得ることができました。これからも、彼女が教えてくれた大切なことを胸に、引き続き元ちゃんハウスで活動を続けていきたいと思います。そして、私自身も彼女のように、誰かの力になれる存在でありたいと願います。

(2024年10月17日)

管理栄養士 櫻井千佳

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櫻井千佳

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