9月9日は、五節句のひとつ「重陽の節句」でした。お正月やひな祭り、七夕に比べ、あまりメジャーではないのですが、縁起のよい奇数「陽」の重なる日を祝うために、9月8日の夜、菊の花を真綿(絹)で覆って夜露と香りを綿に移し、その綿で体や顔をぬぐうと老いが去り、長寿を保つという優雅な風習です。旧暦(10月中旬)を使っていたころは最後の五節句として盛んだったようですが、現代に合わせようとすると秋の菊は咲いていないし、熱帯夜では夜露もなく余計にパサパサしそう(-_-;)…なので、フェードアウトしていくのも仕方ないことですね。
そして9月中旬になればコシヒカリの新米が出回る時期ですが、最近、店頭からお米がなくなっているというニュースをよく耳にします。実際、関東に住む親せきや知人から電話で「一カ月お米を食べていないので見かけたら送ってもらえないか?」と頼まれます。はて? スーパーやドラッグストアでもお米が積まれているのを何の疑いもなく見ていますが…。そのニュースでは昔のオイルショック時のトイレットペーパーや災害時のお水のように、取り立てて必要じゃない人も不安から買いだめに走ることが原因ではないかと話していました。そういえば平気で1.5倍くらいの値段に吊り上がっていました。
さらにTVの出演者は、これまでお米の値段はずっと変わらなかったし、いつでも十分足りていて、どこでも食べられる物と思っていたのに、値上がりすることには納得しかねるとコメントしていました。でも農家の時給って¥400にも届かないのだそうです。過酷な作業は機械化によって楽にはなっているけれど、働き手は高齢者がほとんど。騙しだまし使っている身体も機械も不具合一つで即アウトだったりするのに、農地法とかいう法令があって、農家出身の私でも簡単に農地を継いだり売買できないルールまであります。これはこれで大事な法令だと思うのですが、ハードルが高くて後継者が育ちにくい理由の一つになっています。どこもかしこも人手不足です。
そして、多くの作物は年に1度の収穫ですが近頃の温暖化で花が咲かない、実がつかない、台風が居座るなどなど…。これから先、いま普通にある食べ物が手に入らなくなったり急に高額になったりしそうで怖いです。お米も値上がりはしていますが今のところ稲刈りも順調に進んでいるようなので、そろそろ美味しい新米が食べられそうです。一粒一粒大事にいただきます。
(2024年9月12日)
元ちゃんハウス ピアサポーター
米森直子
コメント