看護師の〝あんやと〟 日記  〜その10〜

元ちゃんハウス看護師毛利葉月 元ちゃんハウス日記

情報の力~災害支援の前線に立つ方々からの学び~

能登半島地震から3週間あまりが経ちました。元ちゃんハウスに来られる方々との会話の始まりは、やはり震災のことです。発災時にどうしていたか、家族や周りの人たちは無事か…元ちゃんハウスのように人が集って話す場でなくても、例えばスーパーなどでも、いたるところで同じような内容を立ち話している人をよく見かけます。
元日、私は七尾市の実家に帰省していました。「石川県と言っても、金沢市くらいしか知らない。」という県外のかたも多いと思います。X(旧Twitter)を見ていたら、各地域の被災状況や石川県のサイズ感を紹介したものがありました。わかりやすい!加賀地方から、輪島市や珠洲市はけっこう遠いのです。

先日元ちゃんハウスで、金沢市内で今まさに能登の避難所から患者さんを受け入れている病院に勤務されている看護師さんとお話をしました。必要な荷物を持ち出す間もなく着の身着のまま避難したかたは、お薬手帳等を持っているわけもなく、お薬の名前もわからず…という状況。でも、スマホだけは持っている、というかたが少なくないとのことでした。確かに、私もスマホは家でもすぐ手に取れる範囲に置いています。スマホに、お薬の写真1枚でも情報としてあったらどんなにスムーズにお話が進むことか…ということでした。スマホのカメラは風景や思い出を撮る他に、情報を記録しておくものとしての使い方もあると思います。お薬等の写真を撮って、できればそれを家族にシェアしておく。情報の管理には注意が必要ですが、緊急時には役に立つよね!というお話をしました。

私は発災時に情報に助けられたのでした。
元日、七尾市の実家に帰省しているときに地震がありました。幸いにも、私も実家の家族も無事で、私は翌日2日に加賀地方の自宅に戻ることができて、今は実家の家族も不便ながらも自宅で生活ができています。
元日の発災直後は避難所に身を寄せました。避難所では断水はしていたものの、停電はしていませんでした。インターネットも速度が遅いながらも繋がりました。ここに留まるほうがいいのか、加賀にある自宅に帰るほうがいいのか?通行可能な道路はあるのか?加賀はどんな状況なのか?情報をスマホで調べて、翌朝避難所を出発し自宅に戻ることができました。スマホで主に見ていたのは、日本道路交通情報センターの災害情報提供サービスとX(旧Twitter)でした。普段からモバイルバッテリーをバッグに入れていて本当によかったです。

今、元ちゃんハウスでは、以前から繋がりのある方々を介して、被災地での必要物品の受け渡し等をお引き受けしています。そんな中、一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART)の代表理事宮川先生と運営委員武田さんから、被災地に届ける物品を元ちゃんハウスでお預かりしました。お預かりした物品は連携している団体が被災地に届けて、宮川先生と武田さんは別の被災地に向かわれるそうです。

「お薬の写真1枚でも情報としてあれば…」という看護師さんのお話や、スマホから得られる情報に助けられた私の状況を振り返り、そして、IT DARTの支援活動に触れさせていただき、情報の力がいかに大きなものかを改めて感じています。今も情報が自由に手に入らないことで被災者や支援者が困っている状況は想像に難くありません。待っておられる方々に必要な情報支援が届きますようにと願っています。

(2024年1月25日)

看護師 毛利葉月

元ちゃんハウス 看護師
毛利葉月

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