廊下行く人影のなかあらわれる母の姿をただただ待って
コロナ禍の面会制限があるなかでも、なにかの用事があり、家族が入院する病院を訪れることがあります。病棟の受付や待合で用事を済ませて帰ろうとすると、奥の通路に行き来する人影があります。はっきりとはしませんが入院する患者のようです。ほのかな期待を抱いて目を凝らします。もしかすると入院する家族が姿をあらわすかもしれません。姿を見ても、声をかけたり、呼び止めたりするわけでもありません。だまって見つめるだけです。ただただ姿を見たい。その思いでその場に佇みます。
(#未満)
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