理事長の〝ちゃべちゃべ〟 日記  〜その5〜

元ちゃんハウス日記
家族だからこその大切なこと!

がん患者さんはいろいろ大変ですが、がん患者家族もそれなりに大変です。

患者さんは、ある日、告知を受けて突然がん患者になるのですが、その時、同時に突然、がん患者家族になるのです。患者さんが自分の事と家族の事、仕事の事などを心配するのと同じで、家族も自分の事と患者さんのことと自分の仕事の事などで悩むのです。そして患者さんを支えなければ!自分がしっかりしなければ!と自分の事は二の次にして一生懸命患者さんをサポートするのです。患者さんの前ではなかなか本音を言えなかったり、本人や子供の前では励まさないといけないと明るく振る舞ったりして、泣けなかったりします。

夫と私もそうでした。お互いがお互いを思いやるがゆえに、言葉にできないこともありました。いろいろ話しあいたいと思っても、夫の気分が良い時は「せっかく気分がいいのに今じゃなくてもいいかな・・」と思い、夫の気分が悪い時には「調子の悪い時には言えないな・・・」と思ってしまいます。患者さん本人なら、わからない事や辛いことは主治医や看護師さんに言えば良いと言いますが、家族はなかなか言えません。本人が一緒だったら聞きにくいこともあったり、そもそも改めてお時間をいただくのが申し訳ないと思ったり。どこで聞いていいのかわからない時もあります。辛い気持ちを誰に話していいのかわからない時もあります。

先日「元ちゃんハウスは家族が来ても良いのですか?」と聞かれました。「もちろんです!是非お越しください。お気持ちを吐き出してください。元ちゃんハウスは泣いても良い場所なんです。」とお伝えしました。がん患者家族自身もがんとむきあっているのです。患者家族にとっても、一緒に闘病するためには正しい知識も必要です。是非、学んで下さい。元ちゃんハウスで一緒に学びましょう!わからない事は聞いてください。

家族は、がんになった本人と同じか、もしかしてそれ以上に精神的負担がかかる「第二の患者」ともいわれています。状態が悪くなること、もしかして?と最悪の事が頭をよぎったり、自分の人生ってなんなんだろうと思ってみたり、そしてそんなことを考えている自分を責めて落ち込んだり・・。患者さんをサポートするために、元気で頑張るためには意識的に自分自身を労り、時にはSOSを求めることも大切です。患者さんと適度な距離をとり、そして文句や愚痴を言っても良いと思います。

是非、元ちゃんハウスで自分の為の時間を過ごしてください。患者さんを支えようと頑張るあなたを元ちゃんハウスのメンバーが応援します。

(2023年8月3日)

元ちゃんハウス西村詠子理事長

元ちゃんハウス 理事長
西村詠子

コメント

  1. 菊池なほみ より:

    こんにちは
    家族は、「第2の患者」確かにそうですね。                      家族として向き合うことになった時どうすればよかったのか今更ながら我が身を振り返る機会になりました。近年の癌診断・治療が大きく様変わりしている中、外来化学療法が出来なくなったらおしまいと仰る患者さんやご家族の多い事・・・。                毎日の生活のちょっとした困り事・病気についての悩みを気軽に話せないまま残り時間が少なくなり訪問看護に繋がる現状があります。元ちゃんハウスが全国に拡大するといいなと思います。

    • 西村詠子 より:

      菊池様、コメントありがとうございます。正解は無いように思います。私も今だから言えることもあります。気軽に話せる場、元ちゃんハウスの活動を真摯に続けて参ります。これからもどうぞよろしくお願いします。

      • 菊池なほみ より:

        西村さんが仰った「正解がない」という言葉。同感です。

        医療現場から離れた今「医師・医療者と患者・家族の間は、対等な関係ではなくある種見えない権力関係があると感じています。患者さんやご家族はすごく不安。けれど医療者からは、『決めるのはあなたですよ』と言われる場面に同席したことを思い出しそんなこと言われたら余計に不安になるのも当たり前なのに・・・と。
        医療従事者は、自らが誘導していると思いもせず口に出してしまう。自分の考えを押し付けていると認識していないにも拘わらず患者さんご家族は、医療者が提案することに同意し納得することもありました。
        主治医より『もし病気が進んだ場合どうしますか』という話になり在宅療養を決めてもギリギリのところで入院したりと迷う方もいらっしゃいました。在宅療養と決めたはずなのに何故?医療機関で飛び交う疑問の言葉に頷いていた自分がいたことも事実です。本当は、気持ちが変わってきたのに決めてしまったら引き返せないと考えてしまう本人・ご家族の想いを理解していただろうかと悩ましい気持ちです。
        今の私は、医療現場にいたからこそ第3者としての立ち位置で本人・ご家族に話を聞き伴走するのが役割なのかもしれません。
        色々ヒントをいただき有難うございます。