理事長の〝ちゃべちゃべ〟 日記  〜その14〜

元ちゃんハウス日記
誰かに希望を与えられる存在になる

元ちゃんハウスには4月も100人を超える方が来てくださいました。

ようこそプログラムに参加される方や見学の方、ちょっと寄った‥という方など目的は様々です。でも、元ちゃんハウスが開館してからずっと変わらずに大切にしているのは患者さんやご家族の方など、がんとむきあっている当事者の方々との対話です。

その時間は、もちろん、相談事やお気持ちを聞いて、お教えしたりお伝えしたりもしますが、私の方が教えてもらう事や励まされることも多いのです。闘病中に言われて嬉しかったという言葉を教えてもらったり、まだ家族には言っていないけれど‥と伝えたいと思って用意している感謝の言葉を先に教えてもらったり‥と、とっても得した気分なのです。

私達には、前理事長の夫からも「元ちゃんハウスをよろしく!」と託され、一番人生を長く生きていらっしゃる先輩の仲間がいます。

その方も、これまでにがんに罹患していらっしゃいます。その時は不安な気持ちは当然おありだったと思います。でも私には、事実を受け入れ、前向きに捉えて、あまりクヨクヨしないで闘病されていたように感じました。そのお蔭か、経過もよく私達も安堵しました。

病気のことだけではなく、普段から、生きる姿勢やお考え、素敵な奥様との暮らしぶりをお聞きしては、いつも凄いなあと感心して大切なことを教えてもらっている感じなのです。そして、ご自分の山に育つ蕨やかぼすや柿など‥折々の季節の作物も届けてくださいます。

先日もまた素敵なお話しをしてくださいました。

せっかく生きているのだから、誰かに希望を与えられる存在にならんともったいないわいね。文句や愚痴なんか言うとらんと!。人と関わることで、こっちも元気になるし、秘められた力が発揮できるがや!

と。説得力のある言葉でした。

素敵な笑顔で、金沢弁で話してくれるその場は、とても居心地が良かったのです。こんな元ちゃんハウスって良いなあと思って聞きいっていました。

その方は「自分は、元ちゃんハウスでは何もできないけど、大切な活動をしている元ちゃんハウスのスタッフを笑顔にすることが生きがいなんや‥」と。泣けます( ;∀;)

以前に読んだ、がん哲学外来の樋野興夫先生の著書「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」や、レオ・バスカ―リアの「葉っぱのフレディー」を思い出しました。

患者さん達の話を聞いていつも「人ってすごいなあ、人って強いなあ‥」と思います。

時には泣き言でも弱音でも良いのです。でもみなさん、最後はありがとうと言ってくれます。私達のことを思ってのお言葉です。ご自分がつらい時でも他者を想ってくれるお気持ちに感動しています。

元ちゃんハウスでまた、皆さんからたくさん、教えて頂こうと思います。傾聴するなんて口幅ったい言葉で、なかなかできませんが、まずはこちらがおしゃべりし過ぎないように注意して真摯にお話しを聞かせていただこうと思います。

(2024年5月2日)

元ちゃんハウス西村詠子理事長

元ちゃんハウス 理事長
西村詠子

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